異物に病みつきになるという経験 ―― ナカゴー『ベネディクトたち』

 異物が口のなかに入りこんでくる。あなたは怪訝な顔をして、おそるおそる舌のうえで異物を転がし、その味を確かめんとする。意外にイケるかもしれない。緊張をとぎほぐしながらゆっくりと味わっていると、次第にまるで麻薬を摂取しているかのような感覚に陥ってくる。もっともっと、とあなたは過剰を欲する。しかも具合の悪いことに、過剰摂取によって麻薬は効かなくなってくるのではなく、むしろその過剰さによって加速度的にキマリはじめ、ずぶずぶと沼から抜けられなくなってしまう。そして、しまいには、さらに具合の悪いことに、あなたはその沼へとだれかを引きずりこみたくて仕方がなってくるのだ。チェーン・スモーキング。

 

 2015年に観た『率いて』につづいて、二度めのナカゴーの演劇。10分ほどの新作『話の聞きたいひと』、6年ぶりに初演メンバーで蘇った『ベネディクトたち』。それについての文章を腰を据えて記そうとしていたのだが、腰砕けでここまでで終わっていた。

 演劇によって語られる物語について多少なりとも考えることはできても、演劇という枠組みについての思考言語をいまだ獲得していない。今年は、もう少し精力的に観劇できればと思う。月に2本くらいは観に行きたいものだ。演劇に精通している友人が欲しい。