FESPACO 2019/ワガドゥグ全アフリカ映画祭 コンペ作品予習

  本日2月23日(土)、FESPACO 2019(第26回)が開幕した。FESPACO とは、ブルキナファソの首都ワガドゥグで隔年で開催されている映画祭 Festival Panafricain du Cinéma de Ouagadougou(ワガドゥグ全アフリカ映画祭)の通称であり、ブラック・アフリカにおいてもっとも大きい映画祭である。26回を数える今年は生誕から五十周年の記念すべき年にあたる。

 わたしも2015年につづいて再びブルキナファソの地を踏むことができた。今日からのFESPACOにも参加する。4年振り2回目のFESPACOである。その予習も兼ねて、前回(2017年)のコンペ作品同様コンペティション部門の20作品の情報をまとめておきたい。ほとんど誰の役にも立たない情報をインターネットの海に投げ入れる。前回の記事には思わぬ人物からの反応もあった。そういうこともあるものなのですね。

 

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公式コンペティション部門(20作品)

 

" DESRANCES "Apolline Traoré 監督,ブルキナファソ,2019,'105)

" DUGA, LES CHAROGNARDS "Abdoulaye Dao 監督/Hervé Eric Lengani 監督,ブルキナファソ,2019,'90)

" HAKILITAN(MEMOIRE EN FUITE) " (Issiaka Konate監督,ブルキナファソ,2018,'75)

" RESOLUTION" Boris Oué 監督/Marcel Sagne 監督,コートジボワール,2019,'105) 

" BARKOMO (LA GROTTE) " (Aboubacar Bablé Draba 監督/ Boucary Ombotimbé 監督,マリ,2019,'75) 

" MIRACULOUS WEAPONS (LES ARMES MIRACULEUSES) " (Jean-Pierre Bekolo監督,カメルーン,2018,'99)

" MABATA BATA " (Sol de Carvalho 監督,モザンビーク,2017,'74)

" KETEKE " (Peter Sedufia 監督,ガーナ,2017,'98)

" HAKKUNDE " (Oluseyi Asurf Amuwa 監督,ナイジェリア,2017,'99)

" RAFIKI " (Wanuri Kahiu 監督,ケニア,2013,'83)

" T-JUNCTION " (Amil Shivji 監督,タンザニア,2017)

" THE MERCY OF THE JUNGLE " (Joël Karekezi 監督,ルワンダ,2018,'91)

" AKASHA " (Hajooj Kuka 監督,スーダン,2018,'78)

" FIVE FINGERS FOR MARSEILLES"(Michael Matthews 監督,南アメリカ,2017,'120)

" Sew the Winter to My Skin "(Jahmil X.T. Qubeka 監督,南アメリカ,2018,'118)

 " KARMA " (Khaled Youssef 監督,エジプト,2018,'110)

" INDIGO " (Selma Bargach 監督,モロッコ,2018,'92)

" FATWA " (Mahmoud Ben Mahmoud 監督,チュニジア,2018,'102)

" REGARDE-MOI (LOOK AT ME) " (Néjib Belkadhi 監督,チュニジア,2018,'96)

" ILA AKHIR EZZAMAN (JUSQU'A LA FIN DES TEMPS) " (Yasmine Chouikh 監督,アルジェリア,2017,'93)

 

 フランス語圏西アフリカからは5作品。ホスト国のブルキナファソからは3作品選出されている。ポルトガル語圏のモザンビークから1本。英語圏アフリカからは9作品と例年以上の存在感を放っている(カメルーンをフランス語圏とするか英語圏とするかは微妙だが、作品内の言語は英語のようなのでこちらに振り分けておく)。エジプトを含めたマグレブ諸国からは5作品。以上で20作品となる。

 近年の過去二回の傾向と比べても、いつも以上にバランスよくアフリカ全土から作品が集ってきている印象である。FESPACOには応募作品の絶対数がフランス語に比して少ない英語圏アフリカからも、南アフリカルワンダタンザニア、ガーナなど多様な国々から集まっている。以下、一本一本を詳しく見ていきます。

 

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" DESRANCES "Apolline Traoré 監督,ブルキナファソ,2019,'105)

 ブルキナファソ女性監督の長編4作目。FESPACO 2017にも『Frontières』という前作で選出されている。ブルキナファソで生まれるも、外交官の父に連れられて7歳で故郷を離れ、世界を転々とする。ボストンの Emerson College で芸術を専攻したあと、アメリカでキャリアをスタート。イドリッサ・ウエドラオゴの勧めに従って、2005年にブルキナファソに帰国し、以後も作品を撮り続けているようだ。

 本作の主人公は、両親を軍隊に虐殺された事件を折に生まれ故郷のハイチを離れ、コートジボワールアビジャンで妻とともに暮らす中年男。だが、2011年の政変に巻き込まれ、再び混乱のうちに陥ってしまうという話。

 ブルキナファソのメディアには、710 819 952 FCFA(日本円換算で大体 1.4億円)の制作費がかかったと記載されていた(ちなみに内半分はブルキナファソの映画連盟からの助成金のようである)。しかしこのやたらと細かい数字はいったい何なのだろう。まあ、どうでもいいのだが。

 

vimeo.com

   

" DUGA, LES CHAROGNARDS "Abdoulaye Dao 監督/Hervé Eric Lengani 監督,ブルキナファソ,2019,'90)

 パリのINAで映画を学んだ経験をもつ Abdoulaye Dao 監督が、友人から実際に聞いた話をもとにもう一人の共同監督とともにつくりあげた作品。その友人は本人役で映画に出演してもいるようだ。Dao 監督にとっては長編二本めで、前作 "Une femme pas comme les autres"('08)もFESPACOに選出されている。

 亡くなったばかりの親族の遺体を病院から受け取り、農村へと引き渡そうとするが、さまざまな宗教的制約に直面していく青年の話のようである。宗教的制約といってもひとつの宗教だけでなく、カトリックイスラームをともに扱っているようだ。アニミスムも含めて、さまざまな宗教が混淆するブルキナファソの現状がどれくらいフィルムに反映しているだろうか。

 

www.fasozine.com

  

" HAKILITAN(MEMOIRE EN FUITE) " (Issiaka Konate監督,ブルキナファソ,2018,'75)

 ソルボンヌで映画の修士号を取得し、フランスで映画の現場での経験を積んだあと、1989年に映画監督としてのキャリアをスタートし、いくつかの短編を撮っている。本作は長編フィクションとしては処女作にあたるようだ。

 2009年のワガドゥグの大洪水の被害を受け、シネマテークに保管されていた過去のフィルム・アーカイブの大多数が消失してしまったという事件に直面したひとりの教授の物語ということしかわからない。わたしも2015年にあのシネマテークの惨状を目撃しているので、この事件をどのようにフィクションへと落とし込んだのか興味を惹かれる。

 

www.clapnoir.org

 

" RESOLUTION" Boris Oué 監督/Marcel Sagne 監督,コートジボワール,2019,'105)

  コートジボワールからは唯一コンペ入りしている一本。あまり情報が出てこないのだが、共同監督の二人にとって初の長編フィクションであるようだ。監督よりも女性プロデューサーの Evelyne Ily のほうがキャリアが長く、本国では知られているようだ。

 本作は女性へのDVを扱ったもの。表向きは順風満帆な理想の家族であるように見えても、実際のところは妻は夫の暴力に苦しんでいて、という話。コートジボワールの首都アビジャンを舞台にした現代劇。テーマ自体に真新しさはないが、どれだけ今日のアビジャンの姿がフィルムに焼き付けられているのだろうか。

www.fratmat.info

 

" BARKOMO (LA GROTTE) " (Aboubacar Bablé Draba 監督/ Boucary Ombotimbé 監督,マリ,2019,'75)

 比較的若い二人のマリ人の共同監督作。これまで Aboubacar Bablé Draba 監督は、マリでのPV、テレビ番組製作などのキャリアを積んでおり、 Boucary Ombotimbé 監督は、役者、ダンサーとして多岐にわたる活動を行い、スレイマン・シセに師事していたようだ。いずれの監督にも初長編フィクション作。

 十七世紀末のマリの共同体を舞台に、夫との子どもを身ごもることができず、村中から後ろ指をさされ自殺を試みる女性が主人公。「ドゴン国」という民族の伝統を描く。"Barkomo"という語は、ドゴン語で「洞窟」を意味するそうだ。ドゴンという民族は、十四世紀にイスラム化から逃れるべく、マリの各地にある洞窟に身を潜めていたらしい。マリに"Barkomo" という名の村がいくつもあるのは、その名残だという。作品も全編ドゴン語で話されるという。

www.clapnoir.org

 

bamada.net

 

 

" MIRACULOUS WEAPONS (LES ARMES MIRACULEUSES) " (Jean-Pierre Bekolo監督,カメルーン,2018,'99)

 1960年代の南アフリカを舞台に、死刑宣告された黒人の男に恋をしてしまった三人の女を描く。"Les armes miraculeuses" という標題は、マルティニークの大詩人エメ・セゼールの詩集と同じであるが、監督は着想自体はセゼールに負うわけではないとインタビューで語っているが、ネグリチュードも含めて、大きな影響を受けているようだ。

 Jean-Pierre Bekolo監督は、ほかのコンペ監督と比しても、世界的にやや名の知れた監督で、長編処女作の"Quartier Mozart"('92)はカンヌに招待されているほか、British Film Instituteが主導した映画生誕100周年記念のオムニバス企画――ゴダールベルトルッチ、スコセッシが参加したものだ――には、アフリカ代表として参加している。長編作品としては本作が六作目にあたるのだろうか。

 

" MABATA BATA " (Sol de Carvalho 監督,モザンビーク,2017,'74)

 ポルトガル語圏アフリカからは唯一の選出。とはいっても映画で話されているのはツォンガ語という言語であるようだが。 Mia Coutoの"THE DAY MABATA BATA EXPLODED"という原作を脚色し、映画にしたものだという。Sol de Carvalho監督にとっては、ドキュメンタリーと短編を除くと、長編三作目にあたる。

 南アフリカの鉱山に出稼ぎに出ている叔父の代わりに、彼の群れの面倒を見ている羊飼いの少年が主人公。"MABATA BATA"というのは、群れで一番大きな雄牛の名前のようである。映画は原作の骨格にさらに魔術的な次元を導きいれたとある。果たして。

 

" KETEKE " (Peter Sedufia 監督,ガーナ,2017,'98)

 "Keteke"とは、ガーナのアカン族のことばで「電車」を意味する。1980年代、子どもの出産を間近に控えた女とその夫は、二人で里帰りをする途中だった。故郷へと帰るには、週に一度しか運行しない電車に乗る必要があったのだが、その電車を逃してしまい…というプロット。トレイラーを観る限り、コメディタッチの作品のようである。

 Peter Sedufia 監督は、本作をもってキャリアをスタートさせたようだが、すでに次作にあたる "Sidechic Gang"('18)は、ガーナ本国での公開も済ませているようだ。"KETEKE"はアフリカに限らず、いろいろな映画祭を旅しているようだが、監督のFBを覗くと、FESPACOに選出されたことの喜びを綴っていた。全員ではないにしても、FESPACOは、ほとんどのアフリカで映画を志す者たちにとっての憧れの場である、と。

 

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" HAKKUNDE " (Oluseyi Asurf Amuwa 監督,ナイジェリア,2017,'99)

 ナイジェリアから唯一選ばれた作品。大学を卒業したばかりの青年がひとり立ちするべく奔走する物語。ひとことでいえば就活の話。2本ほど短編映画を撮っている若い監督の長編処女作。すでに本作でさまざまな映画祭を回っているようだ。IMDbには「コメディ」という括りで情報が記載されていたが、予告篇を見る限りはコメディというよりは、ヒューマン・ドラマというべきか。

 

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" RAFIKI " (Wanuri Kahiu 監督,ケニア,2013,'83)

 ケニアLGBT映画。ケニアに生きる若いレズビアンカップルのラブストーリー。"Rafiki"というのはスワヒリ語で「友だち」という意味だそうだ。監督のインタビューを少しだけ聞いたのだが、近年アフリカ映画において純粋なラブストーリーはあまりにも少なく、だからこそ企画を立ち上げたという。しかしながらケニアでは、憲法によって表現の自由が保障されているにもかかわらず、上映禁止の憂き目にあっているという。彼女の明快で、力強い語り口には惹かれるものがある。

 本作は Kahiu 監督の"From a Whisper"('09)に次ぐ、長編二作目。そのあいだに撮っている"Pumzi"('10)というSF短編はサンダンス映画祭で上映され、ほかにもいくつかの映画祭で賞を受けているようだ。この作品は2018年のカンヌ映画祭の「ある視点」部門でWPを果たし、そのあともさまざまな映画祭を回っている模様。

 

youtu.be

 

" T-JUNCTION " (Amil Shivji 監督,タンザニア,2017)

   "Shoeshine"('13)と"Samaki Mchangani"('14)という二本の短編映画を撮っているタンザニアの監督の長編処女作。短編はFESPACOでも上映されているほか、ロッテルダム映画祭などにも出品されている。本作は2017年のザンジバル映画祭ですでにWPを果たしているようだ。

 主人公はあるとき病院で、大怪我に苦しんでいる女性に出会う。彼女は「T字路」にまつわる話を語り聞かせ、その話を聞くべく何度も主人公は病院に通い詰め…という物語。予告篇にはT字路の俯瞰ショットがいくつか繋がれていたが、あの形態のモチーフが作品にどう生かされているのか興味深い。

 

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" THE MERCY OF THE JUNGLE " (Joël Karekezi 監督,ルワンダ,2018,'91)

 1990年代末に勃発した第二次コンゴ戦争に参戦した二人のルワンダ人兵士が、本隊とはぐれてしまいながらもジャングルで生きのびていくさまを描いた映画。Joël Karekezi 監督は、"Imbabazi"('13)に次いで本作で長編は二本目。トロント国際映画祭2018でWPを果たし、以後はいくつかの映画祭を回っているようだ。主演を務めるのはコンゴ共和国出身のマルク・ジンガ(ジャック・オディアール『ディーパンの闘い』や、ダルデンヌ兄弟の作品にも出演している)。

 

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" AKASHA " (Hajooj Kuka 監督,スーダン,2018,'78)

 英雄と称えられたスーダンの反乱軍兵士。彼は恋人と同じくらいAK47のことを愛している。だがひょんなことから逃亡の身を余儀なくされ…というプロット。紹介文には「市民戦争の時代――しかしスーダンの戦争はいままさに起きている」と書かれていた。

 ドキュメンタリー出身のHajooj Kuka 監督の長編フィクション一本目。本作は2018年のヴェネツィア映画祭でお披露目となり、トロント国際映画祭でも上映されている。

 

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" FIVE FINGERS FOR MARSEILLES"(Michael Matthews 監督,南アメリカ,2017,'120)

 南アメリカで撮られたウエスタン映画。わたしはタイトルと南アフリカという情報を手にして、てっきり南アフリカの難民がフランス・マルセイユをめざす話(そんなことはあるのだろうか?)だと思っていたのだが、南アフリカに〈マルセイユ〉という地名があるようだ。白人警官が幅を利かせるアパルトヘイト体制下の南アフリカマルセイユで、5人の少年少女からなる〈ファイブ・フィンガーズ〉が街を守るべく奔走するが、ある日リーダーのタウは警官を射殺してしまい逃亡を余儀なくされ…というプロット。

 本作はトロント映画祭2017に出品され、すでに南アフリカアメリカでは劇場公開もされ、なんと日本でもクロックワークスが配給権を購入し「未体験ゾーンの映画たち2019」で『ファイブ・フォリアーズ』という標題で上映される(た)ようだ。ミカエル・マチューズ監督の長編処女作ということだが、これだけの予算を集めて南アフリカでウエスタン映画を撮るというのはすごい。

FIVE FINGERS FOR MARSEILLES - OFFICIAL TEASER TRAILER from Michael Matthews on Vimeo.

www.cinemaescapist.com

 

" Sew the Winter to My Skin "(Jahmil X.T. Qubeka 監督,南アメリカ,2018,'118)

 長編4作目の監督による本作もまた、トロント国際映画祭2018に選出されている。こちらは1950年代初頭の南アフリカが舞台。白人の植民者から盗みを働き、成果を貧しきに分け与えるアウトローの物語。監督は2010年にキャリアをスタートし、前作の"OF GOOD REPORT"('13)は、南アフリカでは児童ポルノ的であるとして上映禁止の憂き目に遭っている。

 

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" KARMA " (Khaled Youssef 監督,エジプト,2018,'110)

 「本作は富者と貧者の社会的相違と、キリスト教徒とイスラム教徒の関係について描く」というざっくりとした紹介文があった。エジプト本国では検閲に目をつけられ、 上映禁止寸前になるも、交渉の結果無事に公開が決定したと報じられていた。若きイスラム教徒の男がキリスト教徒の女性に恋をするという物語。

 わたしはまったく知らなかったのだが、Khaled Youssef 監督はエジプトではかなりのキャリアを積んでおり、IMDbによれば本作で長編十二作目だという。

LE KARMA VU PAR KHALID YOUSSEF - YouTube

 

" INDIGO " (Selma Bargach 監督,モロッコ,2018,'92)

 兄からの虐待に苦しむ十三歳の女の子は、ある日自分に予知能力が備わっていると気づくが、その能力は家族には呪いだとして嫌悪されるという物語。

 "Le 5ème Corde"('11)という作品に次ぐ、Selma Bargach監督の長編二作目。彼女は1966年にカサブランカに生まれ、ソルボンヌで映像専攻で博士号を取得している。短編映画やドキュメンタリー作品、脚本も多数手がけてきたようだ。

 

" FATWA " (Mahmoud Ben Mahmoud 監督,チュニジア,2018,'102)

 2011年のチュニジアで勃発したジャスミン革命のあとの数年を舞台にしている。バイク事故で亡くなった息子の遺体を引き取るべく、父がチュニジアへと戻ってくる。彼はそこで、息子がイスラム過激派に帰依していたと知る。どうして息子はそのような途をたどったのか。

 本作を手がけたのは1947年生まれのチュニジアの監督。今回のコンペでは最年長監督だろうか。ブリュッセルで映画を専攻し、すでに60年代後半には"Escurial"('67)という短編でキャリアをスタートしている。本作は六本目の長編作品のようである。

 

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" REGARDE-MOI (LOOK AT ME) " (Néjib Belkadhi 監督,チュニジア,2018,'96)

 舞台はフランス・マルセイユチュニジア移民の主人公はすでにフランスの地を踏んでから四十年余りが経っている。あるとき兄の妻の容態が芳しくないということで、故郷へと戻ることとなる。故郷には、自閉症の九歳の息子がいた。しかし彼自身は、自分の父のことを知らない…。

 こちらも2018年トロント国際映画祭ですでにWPを果たしている。本作はおそらく監督の2本目の長編フィクションか。彼はもともと役者として映画の世界に飛び込んできたようで、1990年代からいくつか作品に出演している。

 

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" ILA AKHIR EZZAMAN (JUSQU'A LA FIN DES TEMPS) " (Yasmine Chouikh 監督,アルジェリア,2017,'93)

 1982年に生まれた女性監督の長編第1作め。2017年のドバイ国際映画祭でWPを果たしている。両親ともに映画監督のようで、彼女はかつて父 Mohamed Chouikhが監督した"La Citadelle"('89)に出演するなど、早くから女優としてのキャリアも積んでいるようだ。

 墓場の看守を勤める年老いた男と、夫を亡くしたばかりの寡婦の女の、ボーイ・ミーツ・ガール(オールドマン・ミーツ・オールドウーマン)もの。墓場ではじまる死を目前にした者たちの恋というプロットは興味を引く。

 

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 以上、20作品。貧弱なネット回線でひとつひとつ情報を拾っていこうとしたら、思った以上に時間がかかってしまった。すべて観ることができるかは微妙なものの、なるたけ作品を追いかけていくつもりです。 もちろん、コンペ以外のものも観ていきたいのだが、八日間の会期でどれだけ観ることができるか。また走り抜けてから記事をまとめられたらと思っている。

 

Sew the Wint

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