2026-02-01から1ヶ月間の記事一覧
映画館の外に出ると、いくつかのグループが映画の感想を口々に言いあっていた。ライカートの新作の隣のスクリーンで上映されていたジョン・ウーのむかしのアクション活劇を見ていたらしき若者たちは、大きな身振り手振りを交えて興奮気味にシーンのひとつひ…
ショットのひとつひとつにひとりの偉大な映画作家の思考の形跡が刻印されている。世界のほとんどの映画に、多かれ少なかれ既存の映画文法をなぞったり、テキトーに撮ったカットがあるものだけれど、『シークレット・エージェント』は160分の長尺で一秒たりと…
風が吹くまま、ロランはアルプスの僻地の町に逢着する。29歳、無職。仕事は長続きしたためしがない。これといってやりたいことがあるわけでもない。それでも彼はいちばん大きな夢は何かと訊かれれば、「ひとを愛し愛されること」という答えを何の衒いも躊躇…
Georges de La Tour, Saint Jean-Baptiste dans le désert, 1650-1652? ジョルジュ・ラ・トゥールの描く人びとは目を伏せている。一本の蝋燭が灯されただけの薄明かりで彼らがまなざしを向けるのは、生まれたばかりの赤子であり、お椀一杯に盛られた雛豆であ…
Saya Gray / L’Elyssée Monmartre, Paris 2025年のベストアルバム10枚と、鑑賞したライブやコンサートの記録。それにしてもよくライブに行った年だった。そのなかで三度もライブに行ったのが Saya Gray。2024年の『QWERTY II』で知った日系カナダ人のアーテ…
年末年始は東京で早稲田松竹の成瀨巳喜男監督特集に通ったので、その覚え書き。6作品はいずれも35ミリプリントでの上映で、4作品が初見。大晦日にも三が日にもわざわざ名画座に成瀨を観にいく酔狂な映画おたくたちで劇場はほとんど満席で、ぼくも久々の友人…