2020-01-01から1年間の記事一覧

本棚(2020年12月)

一年前の師走、わたしは何を考えていたのか、ほとんど憶えていない。日記の類も断片的にしかつけておらず、そこに残されていないものは、ひょっとすると失われてしまったのではないかと悲しい気分に陥ってしまう。 みずからの健忘症に抵抗せねばならない! …

八月十八日 火曜日 亡霊たち

八月十八日 火曜日 亡霊たち 職場を出たのはすでに23時を回っていた。つまりは14時間近くも働いていたことになる。いつものことといえばいつものことだが、いったい何をそこまですることがあるのだろう? ほとんどきょう一日の記憶を喪失してデスクをあとに…

八月十七日 月曜日 発熱と生命

かつて記事を投稿していたブログを久方振りに更新するとき、ひとは「これからは少しでもいいからなるべく記録を残していこうと思う」という、ほとんど独語ともいっていい、だれに向けているのか定かでない宣言をしてみせる。わたし自身も過去にそのような独…

新型コロナウイルスをめぐって/ミシェル・ウエルベック「少し悪化した世界に」(試訳)

2020年5月4日、仏作家のミシェル・ウエルベックが、パンデミックがはじまって以来、はじめてコロナ禍についての文章を公表しました。原文は仏ラジオ局「France Inter」に掲載(第三者によって朗読された音声もしばらくは聞けます)。すでにどこかで翻訳され…