2022-01-01から1年間の記事一覧

日誌 | 20221202 - 1203

12 月 2 日 金曜日 わたしの記憶のなかのパリは曇天だった。およそ四年振りに訪れたパリで、飛行機を降りて空を見上げると、まさにそうした記憶の映像と変わらないのっぺりした灰色の雲が一面を覆っている。それにしても寒い。職場が手配してくれたハイヤー…

現代海外文学読書会 '19 - '22

現代日本文学読書会の記録を認めたので、もうひとつの海外文学読書会のことも書き留めておく。2019年4月に何人かの友人知人を誘ってはじめて、コロナ禍による一時中断も挟みながらも、だいたい月に1回のペースで3年ぐらい続けていた。わたしの怠惰もあって30…

現代日本文学読書会 '21 - '22

職場の同僚を何人か誘って、2021年1月からほぼ月に1回のペースで、現代日本文学の読書会を開催していた。あらかじめ一冊選書をして、読書会当日までに読了してくればよいというルールで、およそ二年にわたって続けることができた。わたしの身辺状況が変わっ…

映像日誌 | January - November, 2022

一年前にはじめた映像日誌をいまも撮り続けている。YouTubeの更新は昨年来止まっていたのだが、奇しくもわたしの友人にも同様に映像日記を撮っている人たちが何人かいて、たまにお互いの撮った映像を見せ合うなどといった遊びに興じていた。そのときによって…

阪神タイガースの暗黒時代

日本全国の阪神ファンは、待ちに待った2022年のプロ野球開幕からのあまりに酷たらしい二週間をどのような心境で過ごしているのだろう。セ・リーグ記録の開幕9連敗を経て、西の完封勝利で辛うじて1勝を挙げて連敗記録を止めるも、翌日の試合では「あと1球」で…

ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ『リフレクション』(’21)

五つ目のショットで現実と虚構のあいだに張られていたスクリーンが突如として破られる。車輌のフロントガラスはロシア兵の放つ銃弾によって破壊され、以後に続くいくつかのシーンでは、主人公は境界の向こう側で酸鼻たる現実の只中に勾留されてしまう。その…

スティーヴン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)

マンハッタンのウエスト・サイドは再開発によっていまにも土地の記憶が葬られようとしている。ギャングの残党たちは毀れゆく廃墟となったシマを怯えながら歩きまわる。61年の映画版と較べてなによりもまず印象的だったのは、全体に通底するこの斜陽のイメー…