演劇

玉田企画『バカンス』/幸福だったときの記憶の一片に生かされて

玉田企画の演劇は、一貫して関係性についてを思索しているように思われる。ある閉じられた二者関係に第三者が介在することによって、関係性のベクトルがいかに変容していくのか。ベクトルの矢印がふえたりへったりすることで、その場の空間の秩序はいかなる…

いま、ふたたび〈変身〉するグレゴール・ザムザをめぐる身体性 ―― ふたつの『変身』をめぐって

カフカの小説をときどき身体がひどく欲するので、仕方なしに餌としてカフカを与えることがある(カフカのことを考えはじめると、思考パターンまでもがカフカ的モチーフに侵食されてしまう)。今回もその生理現象が生じたので、フランツ・カフカ『変身』を読…

異物に病みつきになるという経験 ―― ナカゴー『ベネディクトたち』

異物が口のなかに入りこんでくる。あなたは怪訝な顔をして、おそるおそる舌のうえで異物を転がし、その味を確かめんとする。意外にイケるかもしれない。緊張をとぎほぐしながらゆっくりと味わっていると、次第にまるで麻薬を摂取しているかのような感覚に陥…