「L’art des charpentiers japonais」展関連映画上映

羽仁進監督『法隆寺』 © 記録映画保存センター

パリ日本文化会館で開催中の展覧会「工匠たちの技と心――日本の伝統木造建築を探る」(2023/10/18 - 2024/1/24)にあわせ、日本映画を3作品上映します。「大工」「木造建築」というお題をもらって、わたしはその作品選定を行いました。パリではじめて担当したプログラミングの仕事です。

プログラム1[ 2023/11/24 金・2024/1/13 土]

羽仁進監督 『法隆寺(1958)

千年以上の歴史をもつ現存する世界最古の木造建築・法隆寺の美を捉えようと試みたドキュメンタリー。法隆寺の建築だけでなく、奉納されている仏像や宝物などにもカメラを向ける。1960年代における日本のドキュメンタリー映画黎明期に重要な役割を果たした羽仁進監督の代表作のひとつ。

五所平之助監督 『五重塔(1944)

五重塔建立の計画を聞きつけたうらぶれた宮大工の十兵衛。大工としての威信にかけて、一世一代の大仕事を任せてほしいと懇願するが……。幸田露伴の1892年の小説を原作に第二次世界大戦中に制作された作品で、オリジナルより数分短いバージョンの上映。監督の五所平之助は日本ではじめてのトーキー映画を撮ったことでも知られる。

プログラム2 [ 2023/11/25 土・2024/1/12 金]

田坂具隆監督 『ちいさこべ』(1962)

江戸の大火で両親を失い、無一文となった大工の若棟梁・茂次。焼け出された孤児たちの世話を見るおりつと共に、代々受け継がれてきた大工稼業を立て直そうと奮闘する人間味溢れるヒューマン・ドラマ。黒澤明監督『赤ひげ』の原作者でもある山本周五郎の小説を原作に、日本映画の黄金時代に数多くの監督作を残した田坂具隆監督がメガホンを取る。

 三作品のうち『五重塔』と『ちいさこべ』はフランス初公開で、国立映画アーカイブから35ミリプリントを取り寄せ、フランス語字幕付きで上映。これを機に難解なイメージがあって敬遠していた幸田露伴をはじめて読んで、まさにあらたな地平が拓けていっています。上映作品も去ることながら、とてもいい展覧会なので、パリにいらっしゃる機会のある方はぜひに。詳細はこちらのウェブページから。